小説 どこよりも先行公開!!   

さてと。



では。


予定通り。


小説を投稿します。



長くなってしまったので、前編と後編に分けました。


・・・後編の編集はやってる最中なので、今しばらくお待ちください。<(_ _)>




ではでは。


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・・・と、その前に。

バナーもクリックしてくれるとありがたいなぁ。

・・・なんて考えてたり。苦笑。


まぁ、小説読む前でも後でも。


よろしくお願いします。<(_ _)>
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「魔法と科学」



Ⅰ 「世界とは」



「この世界には自分たちしかいない」



 この考えは後歴14世紀までは常識的なことであり、人々が共通して持っていた意識であった。


 しかし、後歴1448年(1452年説あり)。航海技術の発達により、スペアーヌ共和国のクリントン・コロンブス(スペアーヌ共和国標準読み)が新大陸を発見。コロンビア大陸と名付けると同時に「自分たちしかいない」という常識を覆した。


 そしてそれから数年後の1456年。今度は逆にコロンビア大陸(ブラジーラ共和国)出身のバルメトロウ・ディアス(ブラジーア共和国標準読み)が(自分たちにとっては)新大陸を発見。同時に同大陸の最南端まで探索を続行し、発見した最南端の岬を「喜望岬」と名付けた。


 お互いの大陸には既に複数の国家が存在しており、その国家間で似通った文明をもっていたが、大陸間では全く異なる文明を築いていた。


 つまり、スペアーヌ共和国やイギリシア帝国があるイースバード大陸は科学を、キメシコ公国やカサダ王国があるコロンビア大陸では魔法を中心とした文明体系がとられており、互いの文明は互いの文明に驚嘆し、同時に恐怖した。


 以後、互いの大陸は相手の大陸を拒絶し、自分たちよりも「遅れた人種」としたため交流が途絶したが、全くなかったわけでもない。


 1592年にはイースバード大陸の半分を支配下におさめたイギリシア帝国がコロンビア大陸にも侵攻したりもした。一時期は全世界の3分の1をおさめる超大国と言われたが、1775年にキメシコ公国を中心とするコロンビア各国が独立戦争を開始。10倍の兵力差、15倍以上の国力の差を跳ね返し、コロンビア側が勝利。独立を果たした。


 これにより、イギリシア帝国はイースバード大陸においても没落。イースバード各国はコロンビア各国の独立を祝福したが、同時に魔法に対する強い恐怖心もその深層心理に植え付けられた。


 1939年から始まった中央洋大戦では人類史上初となる大陸間の本格的戦争となり、両大陸に挟まれた中央洋が主戦場となった。6年近くも続いたこの戦争は両大陸とも国力を使い果たし、1945年8月15日に終戦を迎え、9月29日に終戦条約が締結された。


 この戦争の死者は8000万人を超えたがコロンビア側の死者は1000万人を下回っていたため、実質的にはコロンビア側の勝利だった。


 2025年には、イースバード大陸の各国が各国間の差をなくすために「イースバード連合」と名前を変え、各国を統合した。それを受けて翌年にはコロンビア側も国の統合を開始し、「ジョージニア連邦」と名前を変えた。


 「ジョージニア」の由来は独立戦争の際、コロンビア大陸を勝利に導いた偉大なる指導者、「ジョージ・レキシントン」からとられたものである。


 そして、2031年。イースバードはジョージニアとほぼ中央に位置するハワイアナ島に軍事拠点を構築するため進出。それを阻止しようとするジョージニアとの間で軍事衝突が発生した。


 これに際し、イースバードは地方の軍事衝突にしては大規模な兵力の投入を決定。


 これがハワイアナ島を巡るあらすじである。





Ⅱ 「官僚と軍人と」


 2031年。10月3日。


 イースバード大陸の人口が密集している大陸中央部ならば過ごし易い環境となり、様々な植物が実りをつけるこの季節。


 イースバード連合の首都、ヴァルトシュタインは夕暮れの西日に包まれ、その中央にそびえる巨大な政府専用ビルの会議室にもその西日が差しこみ、そこに居並ぶイースバード軍将校らを照らしていた。


 中央から順に陸軍総長、空軍総長、海軍総長、統合作戦本部総長の4人。その隣からハワイアナ島攻略の主力・第3艦隊司令、それを援護した第5空軍集団司令、揚陸・強襲上陸を担当した第2海兵師団司令の3人。他にも様々な部隊の上級将校や参謀ら。


しかし、国家の国防を担う彼ら重鎮は水を打ったように静まり返り、この会議室は重い空気に包まれていた。



 彼らは信じられなかったのである。


 これだけ大規模な戦力を投入してもハワイアナ島周辺の制海・制空権を得るのが精一杯だということを。


 ハワイアナ島攻略は10月1日の早朝から開始された。主力到着前に行われた第5空軍集団の準備爆撃である。


 大型爆撃機200機以上を使用したこの準備爆撃により、島のほとんどが焦土と化した。
同島に駐屯していた6000人のジョージニア軍兵士は慣れない土地ながらもよく善戦し、80機以上もの爆撃機を撃破・撃退している。


 午前9時頃には、爆弾を投下しきった空軍とほとんど入れ替わりに、主力である海軍第3艦隊が到着。戦艦・巡洋艦あわせて70隻以上の艦艇による入念な準備射撃の後、援護を受けながら海兵隊が強襲上陸を開始。


 ここまではすべて作戦通りだった。



 ・・・突入した海兵隊6万4千人との連絡が途絶えるまでは。



 突入した海兵隊は8個師団。合計32個大隊によって形成されており、それ以下の4千以上ある小隊とも緊急時には連絡が取れるようになっていた。


 それらがすべて一瞬にして連絡が途絶えたのだ。海洋に展開する艦隊から見ても同島にこれと言った変化はなく、司令部もどうすべきか困惑した。


 ある幕僚は「敵は新開発の強力なジャミングを使用した」といい、「海兵隊が敵を駆逐するまで待機すべき」と意見具申した。他のある幕僚は「海兵隊は残念ながら全滅した。艦砲射撃にて無念を晴らそう」と進言した。


 司令部がまとまらない限りは行動ができない。各艦はそのまま洋上に待機し続けたが、海兵隊との連絡が途絶えて1時間ほど経過すると、敵の攻撃が激しくなってきたために撤退を指示。味方がどうなったのかも全くわからないまま、艦隊は現在もなお敵の攻撃が届かない周辺海域を遊弋している・・・。



 これが巡洋艦6隻、護衛艦2隻、強襲揚陸艦9隻、航空機87機、そして6万4千名もの海兵隊8個師団を喪失して終結したハワイアナ島を巡る戦闘の結果であった。




「・・・とりあえず、増援を派遣しては? あの島の戦略的価値は非常に高い。海兵隊を更に12個師団増援として向かわせよう。」

「それではまた同じことの繰り返しだ。すぐさま撤退し、作戦を変えるべきだ。すぐさま遊弋中の艦隊を引き揚げさせろ。」

「陸軍を20個師団投入してみてはどうか。それだけの大戦力とあれば簡単に占領できるだろう。」

「それだけの戦力投入は今後の戦いを鑑みると望ましくない。 ・・・第一、それだけの大兵力を準備する時間と輸送する手段はどうするのかね?」

「5個師団だけでも大型輸送機や輸送船が数百は必要ですな・・・」

「ならば、海軍の機動艦隊を・・・」

「いや、攻略を諦め技術発展に力を注ぎ、数年後に攻略再開というのが望ましいのでは・・・?」


 議論が平行線をたどる中、新たな報告が入り会議室がおとなしくなる。報告を告げた伝令の兵士はこう言った。



「艦隊からの定時連絡がない」と。





Ⅲ 「魔法とは」


 キャリフォール半島はコロンビア大陸の西海岸沿いに位置し、中央洋大戦で大きな損害を被らなかったキャリフォール市がある半島である。そのため、現在はここが首都となっており、ジョージニアの政治・軍事・経済の中心となっている。人口はおよそ700万人。近隣の郊外都市を含めると1300万人は下らない。つまり、コロンビア大陸の総人口の内6割強がこの狭い地域で生活している計算である。


 その都市のお世辞にも立派とは言えない小さなアパートでガウス・ターナーは出発の準備をしていた。ガウスはグレーの髪に薄い青の瞳というコロンビアでは珍しい色を備えている。顔はどちらかと言えば端正だが、それほど上等というわけでもない。


 ガウスは今年で28になる。ジョージニアでよくあるように、小さなころから魔法の勉強をし、成績はそれなりに優秀。そして、魔法に通じた者の大多数と同じように陸軍を志望し、現在は中央方面軍遊撃隊の小隊長を務めている。

「行ってきます・・・。」


 そう呟いて彼は誰もいない部屋に鍵を閉めた。と言ってもイースバードの標準家庭ように錠前を回すのではなく、掌をかざし、暗号をつぶやくのだ。


 彼自身、今日は非番の日だったのだが、イースバードの軍勢が動きを見せているので基地に呼び出しを受けたのだ。


 基地司令から聞かされたが、わざわざ聞かされなくとも、イースバードがハワイアナ島攻略に失敗したことは朝のニュースが特報としてずっとやっていることだ。


 彼らは自分たちのように魔法を使えない。しかし、人口だけはやたら多かったので連中はそれを頼みにかかってくる。それに、最近では科学技術の発展も目覚ましく、明日、魔法が科学と互角でいられる保証はないのだ。


 そう言い聞かせ、ガウスは気を引き締めて基地の入り口をくぐった。





Ⅳ 「秘策」


 会議が終わり、照明が灯った会議室に一人の男が彼の到着を待っていた。

「入ります。」


 そう言って入ってきたのはローウェン陸軍大将である。32歳という若さながら大将に任命され、今年で34になる若者だが、「私もローウェン将軍のようになりたい」と言って入隊を希望する者までいるという陸軍のちょっとした人気者だ。

「単刀直入に聞こう。貴公のことだ。我々の失敗に乗じて何をした?」

「御心配には及びません。全ては我がイースバードのために。」


そう言って形式通りの敬礼をしたローウェンの返答が気に入らなかったのか、その男、マーラー参謀総長は語気を強めた。

「抽象的な返答はいい。 ・・・具体的には?」

「はっ。 この騒ぎに乗じ、我が国が極秘裏に建造していた人工島に配下の陸軍を集結させました。」
 人工島・・・。ハワイアナより南へ5000kmほど南下したところにある秘密基地だ。

「ドイチュ連邦の私兵か・・・」

「私兵ではありますがそれゆえに士気は高いですよ。」

得意げに返したローウェンにマーラーは「・・・で?」と短く返した。

「海上護衛にイギリシアとジャパアニアより各々機動2個艦隊を頂ければ、と。」


 虎の子である機動艦隊をおいそれと4個も貸すわけにはいかない。マーラーは確認の意思と嫌味をこめて聞いた。

「かなりの大部隊だが、それほどの大兵力を向かわせるほど島の価値は高くないと思うが。」


 その質問にローウェンンは自信たっぷりにこう答えた。「いえ、私はコロンビアに行く予定です」と。


 それを聞いて平静としていられるわけもなく、マーラーはオウム返しに聞いた。

「コロンビア? 馬鹿な! 自殺したいなら貴公一人でやってくれ。」

「いえ、無茶ではありません。さらに空軍3個をお貸し頂ければ必ずやってのけます!」


 そう言うとローウェンは言葉を区切った。マーラーは不思議なものでも見るようにローウェンを見ている。おそらく彼の頭の中では色々な計算式が渦巻いているに違いない。失敗した時の責任と成功した時の功績。この作戦を後押ししたのが自分ならば、自分はさらに大きな評価を得るはずである。それに、もしかしたらこの若者はその大偉業を平気でやってのけるかもしれない。

「・・・貴公のことだ。何か考えがあるんだな?」


 答えが出たのであろう。そう言い、マーラーはローウェンの手を取った。

「では、君に一任する。寡兵だが上陸後に歩兵28個師団も送る。占領維持に使ってくれ。」

「はっ。 ありがとうございます。」


 そう言い残し、退出したローウェン。あとに残った参謀総長マーラーはコロンビア大陸に上陸する友軍の姿を思い浮かべて身震いした。


 そして、その後の自分の栄達を想像して思わず顔をゆがませたのである。



 行動は翌日から始まった。否、会議室から退出してからすぐに取り掛かったので、正確には当日から事は始まっていたといえよう。


 ローウェンはまず、預かった3個空軍集団にコロンビア大陸北部の爆撃を命じた。護衛戦闘機の足は短かったので、借り受けた空母から発進させた。


 出撃した第一波爆撃隊がコロンビア北部爆撃を行ったのは10月5日。会議から2日後のことであり、準備や連絡、協力など素早い対応はやはり若干32歳にて陸軍大将に任命されただけあるだろう。さらに特筆するならば、彼はすでに陸軍大将ではない。彼はこの任務に際し、上級大将へと格上げされていたからだ。


 それから爆撃は週3回のランダムで続けられ、ジョージニア軍の注意を引き続けた。日に日に帰還してくる機数が減り、反対意見も出始めたが、ローウェンは気にしなかった。


 その間にローウェンは配下の部隊に入念な補給と整備、十分な訓練と休養を与え、上陸作戦に備えた。もちろん、支援を行う補給隊との協力も万全を期した。食糧がなければ生きていけないのは同じだが、休めば無限に魔法を使えるジョージニア軍兵士と違い、兵器を用いる彼らは武器・弾薬の補給がないと戦えないからだ。


 そして、爆撃を開始して約半年経過した4月13日のまだ肌寒いこの季節。ローウェンは爆撃隊の損害が7割を超えたのを確認し、進軍を命じた。つまるところ彼は最初から空軍を捨て駒だとしか考えてなかったのである。




ローウェン侵攻軍編成一覧


・概要 陸軍50個機甲師団(120万人)

・詳細(主要戦力)

陸上戦艦 150隻
陸上支援艦 250隻
主力戦車 10万両
多連装ロケット砲 5万両
戦闘ヘリ 5万機
歩兵 30万人



 さらに輸送師団15個や補給師団25個が付属しており、上陸成功後はマーラーが約束した通り歩兵28個師団や高射20個師団が派遣される予定である。




 そして、後歴2032年 4月21日。珍しく海が穏やかで気温も日増しに暖かいと感じるようになったこの日。コロンビア大陸最南端の町、イーレンに爆音が轟いた。


 午前6時43分。この海域まで護衛してきた海軍機と陸上支援艦による攻撃である。


 奇襲は大成功に終わり、ジョージニア軍の軍需施設はほぼ一方的に破壊され、多少の抵抗があったのみでこの日の戦闘は終了した。





Ⅴ 「反撃の狼煙」


「ったく、防衛隊は何をやっとるんだ! 黙って敵を通すやつがあるか!」


 そう言って軍帽を机に叩きつけたのはジョージニア連邦軍南方方面軍司令、トマス・クルソン上尉である。


 本来、南方の防衛指揮は彼にあるため、自分の責任を棚上げにした発言と言えよう。つまり彼は「爆撃隊を迎撃するため」と言い張り、南方防衛軍の兵力の半分を北部方面軍に貸しつけたのだ。無論、彼が仲間を思いやる気持ちなどさらさらなく、ただ単に競争相手である北部方面軍に貸しを作るためであった。


 そして、そのクルソン上尉が自分の妄想の中で10回ほど半殺しにしたローウェンは、上陸から1週間で電撃的に南方地域を制圧。既に南方方面軍が管轄するエリアの8割ほどがイースバードを意味する赤色を示している。


 彼とて、無能なわけではない。北部に預けた兵力には移動命令を発し、南方最後の都市イーヴェンの手前10km地点に強固な防衛ラインを構築している。しかし、ここまで押し込まれた原因はやはり彼が敵の上陸時に「防衛部隊がいる」などと言い、わずか2万の部隊に無理を言ったことなのだが、今ではそれを悔いている時間もなく、彼は、最早メンツもくそもないと開き直り、本部の遊撃大隊に援軍を要請した。


 そうして召集されたクルーガー特尉率いる遊撃大隊は正直なところいい迷惑であり、その下で小隊長として働くガウスも例外ではない。彼らは国を守るための精鋭であり、今がその時であるのだが、間抜けな味方の尻拭いはしたくないのである。


 長い会議―それもクルソン上尉が言い訳を並べるだけの―が終わってから、彼らは早速作戦会議に移った。まずはこの勢い旺盛なローウェン軍をどうするか、である。奇襲・強襲・陣地を構築しての迎撃。それぞれ長短所があり、議論はまたも長引いたが魔法の隠密性を生かした奇襲をかけることが決定された。


 彼らは決定後、すぐにイーヴェンにある南方司令部を発ち、南下を開始した。これまで防戦一方だったジョージニア軍初の攻撃の成否はクルーガー率いる7648名に委ねられたのだ。





Ⅵ 「奇襲作戦」

 侵攻したローウェン軍前線部隊は36個師団となっていた。これまでの戦闘で14個師団も失ったわけではなく、占領地の維持に回しているからであった。占領した町や村の規模にもよるが、大体は配下の機甲2個旅団と、マーラー参謀が送った歩兵師団の中からの2個旅団(合計2万4千人)を統治軍として置いた。これは同規模の町を占領するのには多すぎる数であったが、相手は普通の町ではないのだ。魔法とは覚えられさえすれば制御は別として、誰でも使えるものである。つまり、コロンビアの住人は「その存在自体が兵器」(イースバード連合幹部)であり、これでも少ないくらいであった。


 ローウェン軍がはじめて敵の組織的な襲撃を受けたのは後方との打ち合わせや統治をおこなう人事を行った4日後のことであり、それはまさしく奇襲であった。

「何? エリアAGの町の守備隊が壊滅?」

「はっ。 戦艦・支援艦各1隻、主力戦車768両と6千名ほどの兵士を失いました。」


 ローウェンは遠からず敵が襲撃してくることを予測しており、全軍に警戒警報を出していたので、副官から聞いたそれは信じられなかった。

「エリアAGというと、ここから800kmか・・・」

「はい。既に奴らの行動範囲である半径450km内の部隊には厳重警戒令を発しており、特に夜襲への警戒を厳にしております。」


 そう副官が言った後に別の副官が口を開いた。

「450kmですか。我が隊もその中にあれば仇打ちができましたのに・・・」

 確かに。そうローウェンは思った。彼らはただ移動するだけならば兵器と同じように巡航速度で飛行し、体力の消耗が大きい高速飛行は絶対に行わない。だから我々のところにはやって来られない。


 ・・・理論的にはそうだが、できないわけではない。彼らが戦闘時に自分の力が最大限出せなくとも構わないのであれば攻撃は可能なのである。


そして、それを逆手にとり攻撃してくれば油断しきった我が軍は「奇襲」を受ける。現在、我が隊は侵攻軍の中心にいるが、開戦初頭のような大部隊があるわけではない。現在配下にある36個師団は3方面に別れて進撃しており、その中で目標として選ばれやすいのは誰かと考えれば、総大将たる自分が真っ先に出てくる。さらには言葉では言い表せぬ、この首を絞められるような感覚がローウェンを取り巻いていた。彼は本能的に悟ったのである。「敵が来る」と。

「両翼の2軍に連絡。『予定通リ攻撃ヲ実施ス』」

「はっ。 それでは我が軍は・・・?」

「迎撃準備。恐らく、本日の深夜に敵の襲撃がある。叩き潰せ。」


 言った瞬間、目の前の副官は2回ほど瞬いた。自分の上官が何を言っているのか、その真意を掴み損ねたのだろう。

「それは・・・つまり・・・」


 ようやく出せたのはそんな言葉だった。それをいちいち咎めることもなく、ローウェンは続ける。

「あぁ。敵は来る。直ちに迎撃準備。近接戦に不向きなロケット砲は両翼の援護に回せ。」

「はっ。急いで通達します。」


 次にローウェンは別の参謀を振り返った。

「貴官は後方の部隊に連絡を取り、高射2個師団を鉄道輸送。何が何でも間に合わせろ。」

「り、了解!」


 部下達は緊張の色を浮かべたが、それが不安からくる緊張ではないことだけは確かである。

「・・・間に合ってくれよ。」


 騒がしくなった旗艦、陸上戦艦「レヒット」のブリッジの中でローウェンはそう呟いた。




 同時刻。エリアAGより約100km北方の地域にて。

「クルーガー特尉、本当に本隊を?」


 戦闘速度で飛行しながら第4小隊長のガウスは尋ねた。彼らはローウェンの予想通り敵主力の本隊、ローウェンの命を狙っていたのである。

「あぁ。いくら下ばかり叩いてもキリがない。我々にはまだ正面切って戦えるだけの戦力がない。ならば、この少ない人員でできることは常識破りの奇襲しかない・・・」

「しかし、魔力を40%も減じた戦いは厳しいものがあるでしょう。」

「でもさー やんなきゃなんないじゃーん?」


そう軽口を叩いてきたのは第8小隊長ユウナ・アイリンだ。イースバード軍ならば、作戦行動中に上官にこのような口を利くなど罰せられて然るべきだが、人口が少なく、部隊あたりの人数も少ないジョージニア軍ではみんな家族のようなものであり、クルーガー自身の性格も手伝って誰も気にすることはない。

「あぁ。確かに、これは国の危機だ。こういう仕方ない時は・・・」


 そこでクルーガーは一度言葉を切った。並んで飛ぶ部下たちを見据え、一息にこう言った。

「とりあえず、笑え。」


 この何とも気の抜けた言葉に、重い言葉を期待していた兵士たちは揃って笑い合った。どこからか「隊長らしいや」という声も聞こえてくる。



 後歴2031年。 5月2日のことであり、この8時間後。クルーガー含め7648人は万全の態勢で待ち構えるローウェン軍30万の中に飛び込んだのだった。





≪後編に続く≫




・・・さてと。

えぇっと。
編集が面倒なので、後編は明日でいいですか?



・・・いや、ブログ用に行数変えたりとか、文字とか結構時間かかるんです。苦笑。



・・・あ。

感想があればコメント欄にお願いします。

また、表現がおかしかったり、読みにくい、意味が分からない語句等があればそれもお願いします。<(_ _)>


自分、軍事オタクゆえ。苦笑。




・・・じゃ、明日のお楽しみってことで。<(_ _)>

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by rikipedia | 2009-10-11 21:18 | 歴史バカの日記

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