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リキペディアの小説

「理想郷」



「・・・というわけで、ここまで順調に進化した人類だが、ここからさらに急な勢いで進化していくぞ。」

 と言いつつその人は、黒板に文字を書き始めた。

「では、その様子を見ていこう」

 そして黒板に書かれた文字は「新人類の誕生」と読むことができた。


 「新人類」


2010年5月に国連(世界国際連邦共和国家)が打ち出した政策の中の結果の一つであり、悪化の一途をたどる地球環境の汚染を食い止めるべく、遺伝子工学を用いて生み出されたヒューマノイドである。

 新人類は外見こそ普通の人類と大差ないが、「感情」「言語」といったものがなく、そのため鉱山や発電所(特に原子力発電所)などの危険な個所でよく使われた。

 彼らは自分で考える能力こそ持たないが、命令さえすればどんなものでも確実に遂行した。さらに、雇う会社側からすれば彼らには給料や補償を与える必要が全くないため、コスト削減にはちょうどいい「道具」であった。


 当初は危険な仕事のみが彼らの働き場所だった。しかし、2012年8月に国連が出した「新人類共存法」により、どんな企業や会社でも使ってもよいこととなった。

 これにより世界中の各企業は我先にと新人類を買い求め、開発・製造を担当しているサイバー・バイオニクス社(通称・SB社)はその利益と勢力、発言力を強めた。

 当然のことだが、新人類が到着した企業では今まで雇っていた人間(命令を下す一部幹部クラスを除いたすべて)を解雇したのは言うまでもない。そのため、解雇された人間から反対の声が相次いだが、各国政府が企業に解雇した人間に新しい職が見つかるまで給料を与えるよう指示し、企業もそれに納得したため、大きな問題にはならなかった。企業側としては新人類のおかげで業績は向上しているし、新人類に給料を与えなくてよいため、そのまま流用すればよいだけであったからだ。


 しかし、彼ら新人類はその広がりと同時に、しばしば各地紛争で使用された。感情がないため、足を失おうと腕を撃たれようとも、その心臓が止まるまで、つまり死に絶えるまで前進を続けるからだ。それは前大戦時の日独軍兵士さながらだった。

 さらに彼らは言語をもたないが、新人類間のみで使える意志・情報交換手段(一般的にテレパシーと呼ばれる)を持っていることが、皮肉なことにもこれら紛争の結果により発見された。そのため、戦争で必要な相互連携にもすぐれていた。

 それに対する国連の措置はさすがに早く、製造しているサイバー・バイオニクス社に対し、新人類に「人を殺さない能力」を入力するよう厳命した。さらに国連は兵士用に訓練された新人類投入を計画。3年以内に2億の兵士を作り、各種紛争解決やそれらへの武力征伐に当たらせることにした。

 この矛盾した2つの決定は、紛争地帯の多い小規模各国の反感を買うことになったが、大国の世論に押され、強制的に可決。施行された。



 翌年12月。国連は人間がさらに楽に、よりよい社会を築き、繁栄するために「人類繁栄法」を成立させた。これは今までどんな作業でもこなせるように汎用的に作られていた新人類を各種必要ごとに特化させ、より効率よく仕事をするように考えられた法だった。

 これによって、学者や企業の幹部、美術や音楽関係は人間のみの感性として新人類の進入を拒んでいたが、新人類の侵入を許してしまうこととなる。つまり、学者なら複雑・幾何学的な才能をもった新人類。企業の幹部なら複合的・合理的な考えを持った新人類といったように、である。

 当初は「新人類なんぞに我々人間らしさが再現できるはずがない」と反対を唱える人間が多かった。しかし、試験的に投入された数ヵ月間に彼らは新しい理論や知識をこれでもかというぐらい発表し続け、投入された会社の業績、新しい音楽や美術性、どれをとっても人類に勝るとも劣らない。いや、人類以上の成績をたたき出した。

 このことをきっかけに、反対派は息をひそめることになる。
 つまり、全人類は完全に仕事から解放されたのである。





 人類がよりよい未来を築くために。
 人類がより効率のよい世界を築くために。
 

 そして、人類がより楽をするために。



 2025年。新人類が30億人を突破。

 学者型新人類の頭脳は素晴らしく、人類が数千年かけて築いてきた情報・法則・理論のおよそ半分にあたる量をわずか10余年で作り出していた。

 それに伴う技術発展も目覚ましく、化石燃料というのは死語同然のものとなった。電力は水力・風力・太陽光でそのほとんどが作られ、撤去の難しい原子力発電所のみがわずかに稼働するだけとなり、その発電機関効率も優に80%を超えていた。



 また、人類もその繁栄の形態を変えた。

 つまり、性交と子宮による妊娠を必要とせず、培養液とそれを含む容器によって作り出されるようになったのである。

 主な理由として挙げられるのは、やはり技術の目覚ましい進歩であろう。しかし、それ以上に妊婦への負担を減らすべし。という世論が働いていたのが大きい。また、障害によって子供を作れない人・それらを支える団体の活動もこの世論に拍車をかけた。

 10ヶ月以上も不便な生活を送り、好きなこともできない。さらに出産時には相当な苦痛を伴う。わざわざこんなことをするなんてばかげている。という意見が世に広まった結果が、この「新・子宮外妊娠」であろう。

 子供を作る方法は簡単で、まず、結婚した、もしくは結婚する予定の男女が病院へ必要書類を提出。血液を採取し、検査をする。2週間ほどたつと病院より再度来院の連絡があり、そこで検査結果が告げられ、異常などない場合はそこでどちらの遺伝子を強く受け継ぐか、などを決定できる。それは目の形や手の大きさなど細部にわたり、希望がない部分はランダムとなる。そしてさらに半年後。さらに再度来院の連絡があり、そこで我が子を受け取る。これだけだ。

 これにより性交による子孫作りを過去の形態のものとし、人類は完全人口制御の下、着実にその生活レベルを高めた。
(無論、性交は快楽の手段として、その意味をなくしつつも行為自体は残った。)



 2030年までには食事は全て薬物となった。今までの塩・等分過多、食物繊維不足を解消すべくとられた処置である。薬物には最新栄養学に基づいたバランスの良い栄養が含まれており、これを一日2錠飲むだけで食事は事足りることとなった。

 これにより、栄養失調、または塩・糖分過多によって死亡する人間が激減。2041年には世界平均寿命が75歳を突破する要因となっている。


 このころになると移動手段も人間が自分で運転するものではなくなり、「新・完全無人自動運転高速移動交通システム」によりすべて自動化となる。これは移動効率の飛躍的上昇と渋滞の解消の両方を達成。

 ちなみに、このシステムが完全実行された2043年より、交通事故による死亡者は勿論、交通事故自体が発生していない。

 2049年6月には国連より「世界言語統一計画」が発表された。これは12年後の2061年までに世界の言語を統一することを目的としたもので、より多くの人とコミュニケーションできることを目指している。

 統一する言語は英語でも中国語でもなく、新たに作られた人工言語だった。これは新人類が使う言語(テレパシー)に基づいて作られたもので、今まで存在したどの言語よりも効率よく、簡単かつ、明瞭に意思を伝えることができた。




「・・・さて、ここまでで一旦区切ろう。というわけで人類は、仕事をしなくていいようになったし、事故に遭うこともなくなった。栄養失調で貧しい子供たちが亡くなることもないし、世界中のみんなが会話できるようになった。特に、仕事をしないでいいというのは人類の長年の夢だったからね。その分趣味や娯楽に使えるんだし。  ・・・さて。ではまぁ、参考程度にどこかの都市でも覗いてみるか。先ほどの説明より11年先。ちょうど2060年にしよう。場所は・・・うむ。日本国東京都、渋谷区にでもしよう。半世紀前とはだいぶ変わってしまったよ。まぁ、見てくれればわかるかな。」

 そう言うとその人は壁についているスイッチを押した。




 2060年。日本国 東京都  渋谷区

 スーツを着た会社員風の男が歩道を歩いている。いや、彼だけではない。次第に歩道に人が増え、駅に着くころには数百・数千にもなっていた。それらは駅に吸い込まれ、鉄道に乗って目的地まで移動する。

 この光景は半世紀前となんら変化はない。あるとすれば建物の様子や鉄道の様式、そして歩道を埋め尽くしているのが人間ではなく新人類の群れということだけである。



 半世紀前・・・ここは幾万の人間によって混雑していた。ある若者は駅の周辺に座って通行の邪魔をし、ある会社員は時計を見ながらいろんな人と肩をぶつけながら早足で歩く。

 それぞれが会話や雑音にまみれながら、バラバラに動いていた。

 それが今は新人類が歩くのみである。道路でも路地でも一糸乱れなく一列に並び、一言も発せず無表情のまま、ただ足音だけを響かせながら。それは効率の面では限りなく理想的な公共性であった。




暗かった部屋に明かりが灯る。

「さぁて、まぁ、大体こんな感じだね。では、説明を続けるよ」




 この光景はここだけではない。80億を突破した新人類はどこへいってもその存在を確認できるのである。

 かつては世界経済が集中したニューヨークも。本初子午線が通過する美しい街、ロンドンも。南国のシドニーも。雪国のモスクワも。

 乱れぬ動きで一言も発しない新人類の群れが足音を響かせるだけなのである。




 110億を超えた人類は郊外にある「コロニー」と呼ばれる巨大ビル群で数億がまとまって生活をしていた。

 コロニー(建物)内から外に人類が出ることはなく、一生をその清潔な中で過ごした。

 その中には仕事場や学校等、人間が面倒だと感じる施設は一切ない。建物内の移動ならばエスカレーターがどこへでもどこまでも通じているし、コロニー同士ならば新・完全無人自動運転移動交通システムで楽に、効率よく、速く安全に移動することができる。




 薬物による安全な食生活。

 新・完全無人自動高速運転移動交通システムによる安全かつ効率のよい移動手段。

 人口統一言語によるグローバルコミニケーション。

 徹底管理による人口の増減。




 栄養失調や塩・糖分過多で死ぬこともなければ、肥満になることもない。

 勉強や仕事もしなくてよい。一日中、好きなことをしていられる。

 出産の痛みや苦労を味わうこともなく、また障害に左右されずに子孫を残すことができる。

 新人類のおかげで戦争もなく、真の恒久平和が実現された。





 黒板に文字を書き続けていたその人はチョークを教卓の上に置く。

「・・・つまり、太陽系第3惑星に住む、人類という知能を持った存在は、恒久平和と安楽。2つの難しい問題に答えを出したわけだ。それも中途半端なものじゃない。徹底的なまでにそれらを追い求めた結果がそこにある。先ほど挙げた以外にももっとあるだろうが、長くなるので省くよ。まぁ、つまり、人類はこう思ってるだろうね。」

 そういうと、その人は黒板に一番大きな目立つ文字でこう書いた。




人類は豊かになった。




つまり。人類は幸せになったのだ。



【終】







・・・・・・・・・。

・・・・・・・・・・・・・・・・・。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。



アレだな。おい。


恥ずかしいな!!



なんか、コピペしてわかったけど、これ、小説張ってるんじゃなくて恥を張ってるよ!!


さ、さて、まぁ、そんなわけで、いいわけと言うかあとがきと言うか。
うん。

まぁ、あれっすよ。


日ごろ、駅とかバスの停留所見てて「公共性どうよ?」って思う場面があったわけで・・・。

まぁ、そんなわけで。



新の恒久平和とか、効率とか、そんなの探究したらどーなるかなーって。


まぁ、架空の新人類によって、確かに人類は勉強とか仕事しなくていいようになったけども、本当にこれでいいのかなぁ~。って。



いやーー。
自分としては食事が全て薬物に変わる方が問題だね。笑。

食うことが生きがいと言っても過言じゃないリキペディア。


そんな生きがいを取り上げられた日には、ショック死ですね!


こうやって、肉を食って、味噌汁飲んで「はぁー」ってなって、ご飯を味わって、ラーメンをすするからこそ、いいんですよ!
食事ってのは!


うん。食事万歳。



・・・あぁ。
それました。


まぁ、そんなわけで。
こんな恥ずかしくも低レベルで、なおかつ読みにくいし深いのか浅いのかよー分からん小説ですが、頑張って読んでくれた人には大感謝!



さてさて。ではでは。







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by rikipedia | 2009-07-05 19:35 | 歴史バカの日記